プライベートな空間を確保したいとき、庭にフェンスを設置しようと考える人は多いでしょう。アメリカなど目隠しフェンスをつくらない文化の国や、オランダのように夜でもカーテンを開けて室内の様子が見られてもいい国もあります。
日本は、昔はブロック塀や高い塀などがありましたが、今日はあまり見られない為、都心の密集地には仕切りの意味でも大なり小なり必須でしょう。夜に外から丸見えになるリビングでは落ち着けません。
また、近隣に威圧感を与えるような目隠しフェンスはトラブルの元にもなります。目的に合った上、周囲と調和が取れる失敗しないフェンスの選び方をご紹介します。
フェンスを設置する目的はいくつかありますが、敷地を明確化するのもその一つです。広い敷地が取りにくい土地は、フェンスがないと”お隣の鉢植えが微妙にこちらへせり出してしまう”などに神経を尖らせることになります。
また、土や砂といったものがお隣の敷地に飛んでしまったときに、気まずくなったり、気難しい隣人ですと大きな問題になったりしかねません。
しかし、フェンスがあれば土や砂が飛んでいくことをある程度防ぐことができますし、逆にお隣から何かが飛んでくることもある程度防ぐことが可能になります。自分とお隣の敷地を視覚的に明確化できるのがフェンスの役割になるのです。
もう一つ挙げるとすれば、道路との境を明確にすることです。敷地と道路は接しているので、毎日のように人が通っていきます。角地にあるお宅によくあるトラブルですが、フェンスがないと角の部分をショートカットして歩く人が出てきます。何となくすっきりしない気分になるでしょう。
目隠しフェンスですから、その主な目的は周囲からの視線隠し。フェンスがないと夜はもちろん、昼間でも家の中が外から丸見えになってしまいます。悪意がなかったとしても通りかかったらつい見てしまいますからね。
このように目隠しをすることによって、プライベート空間が生まれます。庭の面積はそれぞれの家庭によって異なりますが、面積の大小に関わらずせっかくのプライベート空間を活用しましょう。
リラックスするためにも目隠しフェンスは重要です。人の目を気にしないでハンモックを吊るしてくつろいだり、ガーデニングをゆっくり楽しんだりすることができますよ。
さらに大事なのは、防犯と安全対策です。当然ですが、防犯つまり泥棒対策は欠かせない重要ポイントの一つです。泥棒とは単なる空き巣から強盗、性犯罪の可能性も考えなくてはいけません。
防犯面を考えると、侵入されにくいのはもちろんですが、ある程度の透過性も必要になってきます。そして、これも大事なポイントですが、子どものいたずら防止も考えておくべきでしょう。
また、幼稚園児くらいの小さな子どもがいる場合、いくら言い聞かせていても敷地内から道路へ飛び出す危険性があります。
飛び出しといえばペットも要注意です。通行人や車などめがけて突然走り出すことも考えられます。ペットはもちろん、自転車などに激突して転倒やけがをさせてしまったら大変なことになるでしょう。
しっかりとしたフェンスを設置するのに合わせて、ドッグランをつくるのも夢がある話ですので、愛犬家の皆さんは一考の余地ありですよ。
フェンス設置で最初に考えなくてはいけないのはフェンスの高さでしょう。これは目的によります。
通行人からの目線を遮りたいのであれば、180cm程度は欲しいですね。日本人の平均身長を考えると、この高さを確保すればほぼ間違いないでしょう。
完全な目線の遮断を考えていない場合はどうでしょうか。たとえば、ペットや小さな子どもがいるならば、高さは身長以上もあれば十分です。この高さがあれば、外への飛び出しも防げて、道路と敷地を分けることができるのでおすすめです。
高いフェンスで圧迫感を感じる場合は、植栽を加えることにより周囲の景観がよくなるでしょう。
また、防犯面を考えるとある程度の透過性も必要になってきます。透過性がない目線の完全遮断は、侵入されたときに外部から気付かれにくいのでおすすめできません。
次に、建物と道路までの距離を確認しましょう。敷地内のスペースによって、フェンスの仕様が限られてきます。
■スペースが取れない場合
建物と道路の距離がほとんどない場合は、境界を明確にするためにフェンスだけを建てましょう。本来ならば少し奥行きを意識したフェンスがいいのですが、こればかりはやむを得ません。
■多少スペースの取れる場合
フェンスを境界線から少し家側に入れたところにフェンスを設置します。そして、フェンスの外側に植栽するときれいに見えますよ。奥行きも出ますので、多少予算は膨らみますがすてきなフェンスになります。
■スペースに余裕がある場合
さらに余裕があるならば、内側に生け垣を設けた上で外側には植栽をします。このパターンができるならば最高です。
このようにフェンスをつくる場合には、建物から道路までの距離がとても大事になるのです。
フェンスの高さが同じでも、素材や色が違うと印象が変わってきます。まずは素材についてご紹介しましょう。
アルミタイプ | 一般的なエクステリア素材です。最も安価な素材になります。 |
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アルミ+ラッピング材 | アルミ材にシールを貼り付けたものですが、カラーバリエーションがありおしゃれな素材です。 色の選択が多い分自分の好みに合ったデザインを楽しむことができます。 |
木質樹脂タイプ | 天然木ではないですが、見た目が天然に近い感じがします。 木より耐久性が高く、木の風合いを出しながら強度を保ちたい方にはおすすめです |
ポリガーボネートタイプ | イメージはスリガラス調の板状パネルです。面状ですが、スリガラスなので採光性があります。 もちろん目隠し効果も高い商品といえます。 |
人口竹タイプ | 主に和風住宅に似合う素材といえます。和風の庭園やお風呂前の目隠しにも最適です。 |
木タイプ | 比較的コストが低い素材ですが、メンテナンスが大変という面があります。 風雨にさらされるので、安いウッド素材を使うと傷みが早くなるでしょう。 |
メッシュタイプ | 植栽と組み合わせることで目隠しにもなります。 植栽は棘のある植物を使うと防犯効果が高まります。 |
次にフェンスの色ですが、家屋や周囲の雰囲気に合わせて選ぶとよいでしょう。
1:ダーク系
2:ホワイト系
どの色を選ぶのかは好みがありますが、ダーク系だと植栽と色が重なり、一見フェンスがなくて天然木が自然な感じに見えます。逆にホワイト系だと植栽との対比がはっきりして、フェンスの存在を際立たせるので防犯の効果を高めるでしょう。
フェンス選びで失敗しないためには、設置場所に適した商品を選ぶのが大鉄則です。
人通りがあり道路に面している表側には、目線を遮る高さを備えながらも、防犯性を考えたある程度中が見えるものがよいです。ただし、あまりに突飛なデザインや素材は周囲との調和を乱すので要注意。
リビング側は視線を考慮しながら、採光性も重視しましょう。視線を遮るあまりリビングが暗くなっては意味がありません。
庭と道路との境界に設置する生け垣などは、自身が庭に立ち、外の通行者と目線が合わない高さを測って決めることを推奨します。
最後はお風呂。お風呂内の照明によって入浴中のシルエットが見えないような素材を選びましょう。
フェンスを設置することで、隣家との境界線以外にも近隣とのトラブルも避けなくてはなりません。特に採光には注意が必要。フェンスにより、隣家が暗くならないように考慮しましょう。また、採光問題が生じなくても、威圧的なフェンスや色があまりに派手なものなど周囲との調和を乱すものも避けるべきです。
近隣トラブルも防犯や安全対策などに問題はないけれど、野良猫が来るので庭が汚れて困ってしまうこともありますよね。侵入対策として、猫除けグッズやハッカ、ハーブなどにおいがきついものをまいても効果に疑問符がつくようです。
おすすめなのは、なるべく隙間のないフェンスです。高さもある程度は欲しいですよね。また、すでに設置してあるフェンスにミニフェンスを追加設置すると、野良猫の侵入防止と防犯対策にもなるでしょう。
筆者:森 雅樹
(もり・まさき)
森住宅コンサルタント株式会社、
代表取締役。大手ハウスメーカーで戸建て住宅営業を経験。
退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。
その後、森住宅コンサルタント株式会社を興して独立。
現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサルティング活動を行う。
お客さまのお悩みやリフォームでのポイントを大きく3つの状況に分け、ご紹介いたします。
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