住宅展示場には多くの方々が来場されます。その後は気に入ったメーカーの担当者と打ち合わせを進めていくわけですが、その過程において庭の話にまで言及するケースはほとんどありません。
これは実に不思議というかもったいない話。 広大なスペースが必要なわけではありませんし、500万円、600万円と高額なお金をかける必要もありません。1坪程度のスペースにウッドデッキを設けてもいいですし、チューリップを植えるだけでも立派な庭となるのです。
簡単に誰もができる庭造りからプロが提案する庭の活用方法まで、いろいろな視点から庭造りを考えていきたいと思います。
住宅会社を決める際には、耐震性や耐火性などをしっかりと調べるはずです。20年前と比べると国の耐震基準も飛躍的に厳しくなりましたからね。
ところが、庭づくりの安全性を考える人はなぜか少ないのです。これは不思議というかあってはならないことなのですが、今から庭づくりを検討するならば、絶対に見落としてはならないポイントであることをお伝えさせてください。
まずは物理的な造りです。皆さんご承知のように、我が国は災害大国であるのですが、特に地震はどこに住んでいようが突然襲ってくる天災ですので、しっかり対処したいところ。 和風、洋風を問わずカーポートや門扉など重量のあるエクステリアには絶対的な安全性と耐久性が求められます。大きな地震が起きると、フェンスなどが道路側に倒れた映像などがテレビで流れますが、このようなことが原因で通行者が命を落とす危険性さえあるのです。また、ウッドデッキと言えば庭造りには欠かせないアイテムですが、これをDIYでチャレンジする人がます。安上がりですし自分で作る楽しみはよくわかります。
しかし、安全性の観点から見ると、ウッドデッキのDIYは絶対にお勧めできません。ひとまず完成させることはできますが、よほどうまくやらないと微妙なズレができてしまい、それが原因となって強度が落ちて壊れる可能性が高まるからです。
特にウッドデッキに荷重がかかることを想定すると、私であれば怖くて使えません。人が2人3人と乗った場合もそうですが、もっと危険なのは車いす。もし車いすで上に乗ったタイミングで崩れ落ちれば大けがとなってしまいます。
エクステリアという言葉を耳にしたことがあると思います。門扉や塀などがそれにあたるのですが、建物の中にあたるインテリアを一生懸命きれいにしても、外から見える外観のデザイン性を無視したらすべてが水の泡ですね。ファサードと一般的にいわれますが、家の顔となる部分は最低限おしゃれにしたいところです。例えば門扉を付けるだけではなく、そこにアーチ状のものをかけるだけでも格好良くなりますし、門柱などもおしゃれなものを選べば全く家の印象は変わってくるのです。
また、欲を言えばガーデンルームも欲しいところです。ガーデニングに全く興味がないといわれるとつらいのですが、多少なりとも草木を育ててみようという気持ちがあるならば雨風を防ぐガーデンルームは重宝します。大切に育てた花木を台風や雪などで木っ端みじんにされた経験をお持ちの方はいませんか? 私は2回やられた経験がありますが、あのときの虚無感はたまらないものがありますよね。
そんな無念を味わうことがないためにも、風雨を防ぐ対策となるガーデンルームの設置も是非ご検討ください。
意外に知られていないのがスクリーンです。「スクリーン・・・?」という声が聞こえてきそうですが、隣家などの視線から目隠しをしてくれるような壁とお考えください。壁と言いましたがいわゆる壁ではなく、家の中がのぞかれないように見た目をぼやかすことができるものの、光は通すような素材でできたソフトな壁とでもお話ししておきましょうか。
透過性のないコンクリートの壁を作るのは感じが悪いですが、これならばソフトなイメージで良いかと思います。敷地に全く余裕がなければ厳しいですが、多少なりとも面積が許すのであれば、このようなスクリーンで外でもないような内でもないような、という空間を作れます。ウッドデッキや縁側と同じですが、この曖昧な空間こそが一戸建ての醍醐味ですよ。このスクリーンは私からの一押しです。
そのウッドデッキもできれば作りたいです。通常は、リビングから外に出る掃き出し窓と同じ高さのまま外に出られるような、主には木製のデッキとなります。 天気が良ければここにあぐらをかいて瞑想するのも乙なものですが、私のお勧めはハンモック。ホームセンターなどで見かけることがありますが、実際に寝っ転がってみると何とも言えない気持ちになります。 そのハンモックをこのウッドデッキに置く。そして横になる。物思いにふける。寝る・・・なんでもいいですよね。ハンモックのある暮らしに慣れると、手放せなくなると断言しておきましょう。
15年ほど前まで私はゴールデンレトリバーを室内犬として飼っていました。ただ、そのときはマンションに住んでいたので、思い切り走らせるのはたまに出かけるドッグランでのみ。「一戸建てで庭があればな~」と毎日のように思っていました。ですから、一戸建てに住みながら犬を飼っている方には、ぜひとも愛犬を自由に走り回らすことができる庭を作ってあげてほしいですね。庭をぐるりとフェンスで囲うのは基本事項ですが、ここで取り上げたいのは人工芝です。
庭一面に人工芝を敷いてください。見た目にもきれいなのですが、犬が転がって背中をこすりつけてもさほど汚れなくて済むからです。室外犬ならまだしも室内で犬を飼うのであれば、外で思いっきり遊ばせたい気持ちはあっても、あの泥だらけな愛犬を洗うと思うと憂鬱になりますよね。 また、人工芝は犬の股関節にも優しいのです。愛犬家ならご存知でしょうが、犬は思った以上に股関節が弱く簡単に痛めてしまうからです。
「あなたの家のお庭ってすてきね!」といわれれば悪い気分はしませんね。特に今の世の中はSNS時代。ブログやインスタを使っておしゃれな庭をアピールしたくなるのも当然でしょう。そのためには、アピールできるようなポイントや仕掛けを、庭にふんだんに仕込ませるのがコツ。例えば、線路の枕木をアプローチに敷き詰めて、その隙間に砂利を敷くだけでおしゃれ空間は演出できますし、アンティークなものを配置するだけでも好感度UPです。
いろいろな工夫ができるのですが、庭に高低差を作るのも面白いですね。遠近法などを取り入れた庭造りもいいですし、スペースをうまく使って空いている部分に植木をさりげなく自然に配置するのもいいでしょう。
ご家庭にお子さんがいる場合、もし男の子だったら誰しもがやってみたい遊びがこれではないでしょうか。女の子でも喜ぶと思いますが、面白いと思ったら一考の余地はありますよ。 キャンプの話をする前に、庭造りの重要ポイントをお話ししておきましょう。
庭造りで失敗しないコツは【見る庭にする】のか【使う庭】にするかを明確に決めることです。このコンセプトをはっきりさせないと、なんだかゴチャゴチャした使いにくい庭となってしまうのです。
見ることに軸足を置くのであれば、リビングに座ったときの視野を考えながら庭造りをするべきです。
花壇を作るにしても、何かの陰に隠れてしまえば、せっかくの花を見ることができませんから。
その逆に使う庭にする場合はどうでしょう。ここで先ほどの話に戻りたいのですが、庭でキャンプという発想もありです。子どもはもちろんですが、大人であってもなんだかワクワクします。
テントを張るわけですから、そのスペースはしっかり取らなくてはいけませんし、火を使うことも想定すると安全性なども考えた場所の設定も考慮しなくてはなりません。
ところでベランピングという言葉を聞いたことがありますか?
ベランダとグランピングを合わせた造語です。グランピングはグラマラスとキャンプを合わせた造語なので、おしゃれで豪華なベランダキャンプということになります。庭にテントを張ってもいいし広めのウッドデッキを作ってそこに張ってもいいでしょう。とにかく庭を活用したベランピングは、あなたの生活をより豊かにする絶好のチャンスです。
ここでは庭造りでの成功談や失敗談を語っていただいたある座談会の様子をお届けしましょう。
■Oさん(会社員)40代
築20年の義祖父の家を引き継ぎリフォームして2年前から暮らす。8才の息子と7才の娘がいる。アウトドアが趣味。
■Tさん(主婦)30代
昨年川沿いに家を建てたばかり。カヌーやジェットスキーなどをそのまま出せる広い庭がある。7才と5才の娘がいる。第3子妊娠中。
■Fさん(スタイリスト)40代
夫婦ともに東京出身で、将来的には家を受け継ぐ予定あり。そのときのために理想の庭について考えている。17才の息子がいる。
O:最近、庭に面して家が建ち、日当たりと(視界の)抜けが悪くなってしまいました。なので今は主に物置として使っています。植物もシダや苔くらいしか育たない。将来的には、土地を買い増して庭を広げられたらと思っているのですが。
T:うちは反対に日当たりが良すぎて、植物が枯れてしまうんです。日差しの強いときは鉢物を室内に入れるようにしていますが、つい枯らしてしまいます。水やりが間に合わないんです。子どもたちが遊べるように芝も張りましたが、手入れはかなり大変。主人も手入れをしてくれますが、気まぐれなので…(笑)。
O:雑草を抜くのは面倒ですよね。僕もしますが、何も楽しいことはないです(笑)。義祖父から受け継いだ木だけは枯らさないようにと思っています。
T:手入れが楽と聞いて置いているサボテン系も、意外と寒さや直射日光に弱かったりしますよね。
F:多肉植物はやっていますよね。うちはまだ家を建てていないので、鉢物で植物を楽しんでいます。水やりのとき、水場が近くだと便利だなと思うから、リビングに近接してお庭があるのが理想です。もしくはお風呂や脱衣所の近くでお洗濯物がすぐ干せる配置もいいなと。Tさんはお庭に洗濯物を干しますか?
T:室内干しもあれば芝生にロープを張って干すこともあります。
F:できれば日光に当てたいですよね。だけど1階に干すと人目も気になりそう。
T:そうなんです。最初は塀を作る予定だったのですが、周りの家がみんな塀がなく、浮いてしまうかなと思って作りませんでした。でもやっぱり丸見えで気になるんです(笑)。特に家は散歩コースに面しているから、見たくなくても見てしまうと思いますし。タープを斜めにして見えにくくしてみたけど、夜は見えているかも…。
O:適度な目隠しは必要ですよね。
T:そうですね。圧迫感のない壁があるなら欲しいです。
庭の雑草が大変という声がありましたが、自然相手ですのでそれも楽しみとしながらやっていくしかないですね。
ただ、土いじりは好きだし家庭菜園も大好き、という人であっても靴下や素足で庭に出ることはできません。
そんなときに活躍するのがウッドデッキです。ウッドデッキのご説明は不要かもしれませんが、ウッドデッキの良さは室内のようで室外のようでもある曖昧さ。自然を感じられて素足でも過ごせるという実に秀逸な空間です。
自然を感じながらも、リビングにいる家族の存在も感じられる空間がウッドデッキスペースです。ここにハンモックを設置すれば、春や秋など季節の良いときには最高の昼寝ができますよ。樹脂製の商品もあるので、メンテナンスも楽々です。また、広いウッドデッキを作れば、そこにテーブルやいすを並べて屋外リビングとすれば面白いですし、空がきれいな場所であれば、天体望遠鏡を置いて天体観測もできるのです。
筆者:森 雅樹
(もり・まさき)
森住宅コンサルタント株式会社、
代表取締役。大手ハウスメーカーで戸建て住宅営業を経験。
退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。
その後、森住宅コンサルタント株式会社を興して独立。
現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサルティング活動を行う。
お客さまのお悩みやリフォームでのポイントを大きく3つの状況に分け、ご紹介いたします。
お客さまのお悩みやリフォームでのポイントを 大きく3つの状況に分け、ご紹介いたします。
リフォーム会社を自分だけで探すのはとても大変。
何社ものリフォーム会社を家に呼ぶのは少し不安。
LIXILならではの
デザイン・機能性にこだわったエクステリアリフォーム商品も紹介できるんです。
リフォームコンタクトなら匿名で相談ができるのでしつこい営業がなく、
お断りするのも簡単。24時間自分のペースで納得できる
リフォーム会社をえらぶことができます。
厳選されたリフォーム会社のみをご紹介しておりますが万が一の欠陥等の不具合には、
無償で直してもらえる瑕疵保険が使えます。工事完了後もしっかりサポートするので安心です。
個人情報をSSLで暗号化し、保護しておりますので、安心してご利用いただけます。